2/11防災リーダー講演会を開催/講師:山村武彦氏

平成24年2月11日(土)9時30分から、昭島市民会館大ホールにて昭島市内の自主防災組織の役員が集い「防災リーダー講演会」が実施されました。
 講師は、「近助の精神・防災隣組」の提唱者でもあります山村武彦氏(防災システム研究所所長)に、テーマは『自主防災組織はイザの時の為に、平常時に何をすべきか』、サブタイトルは~『近助の精神』が、地域の絆のキーワード~で講演していただきました。
自治会役員以外に昭島市内のマンション管理組合の役員にもご案内しました。また、来賓として昭島市の北川市長を始め副市長、教育委員会、昭島市社会福祉協議会、老人クラブ連合会、民生委員、昭島消防署、昭島警察署、消防団、赤十字奉仕団、あきしま・街づくり市民会議・なかがみ、武蔵野会館運営協議会、まちづくり昭島北等の各種団体の皆さんにも参加いただきました。この事業は平成23年度東京都の地域の底力再生事業として助成を受けての開催となりました。
 昨年の東日本大震災から、ちょうど11ヶ月経過した中での講演会でも在りましたので皆さん真剣に受講していました。

開会前にホールロビーにて、消防署の各種防災展示と、防災用品販売会社の協力で、マンホールトイレや、防災用品セット・飲料水・保存食等の防災用品の展示があり、参加者の皆様も手に取り確認していました。

 定刻の9時30分から、吉田忠男自治連常任委員(第5ブロック長)の司会で始まりました。はじめに主催者を代表して小野正敏自治連会長から、休日の早朝より集っていただいたことに感謝し「イザの時にいかに減災できるか、自助・共助の立場でリーダーとして聞くだけではなく、自分達の地域で取り組んでほしい」との挨拶があり、引き続き来賓を代表して北川穰一市長より、日頃の労に対して感謝のことばがあり「防災意識が高まっている中、自らの街は自分たちで守るとのお互いの役割分担のなかで公助の立場で都の指針に基づき、市も見直しに着手しています。いろんな準備を!訓練を!共々にやっていきましょう」との趣旨の挨拶がありました。

講演に入りまして1時間半にわたり、実践的防災・危機管理対応の第一人者として、多くに事例から各種の角度から、講演をしていただきました。
主な内容は下記のとおりです。
《講演の速記での記録内容》
《講演の主な内容》
1、東日本大震災の教訓を踏まえた防災・危機管理/7つのポイント
(1)とらわれない(災害想定、経験、マニュアル)
(2)対策・行動の優先順位(緊急度、重要度、結果の重大性)
(3)役割(責任)分担(家庭、企業、地域、行政)
(4)認知心理バイアス(有事の心理、有事の人の行動)
(5)危機管理対応力(図上討議、図上演習、実働訓練)
(6)近助の精神(防災隣組・安否確認チーム・立ち位置)
(7)防災リテラシー(知識習得、意識啓発、応用力)

2、逃げ遅れないための認知心理バイアス
(1)凍りつき症候群と正常性バイアス
(2)経験の逆機能とエキスパートエラー
(3)認知不協和と集団同調性バイアス

3、自分と家族を守る平時の心構え
(1)東日本大震災は阪神・淡路大震災と異なる揺れ方
(2)震度6強の地震発生!その時あなたは?
(3)耐震とは、揺れても建物は壊れないが、設備が壊れることがある
(4)地震イコール机の下ではなく、小さな揺れで安全ゾーンへ
(5)安全ゾーンとは「転倒落下物の少ない、閉じ込められない場所」
(6)身の安全が確保できたら「助ける人になる」
(7) 「逃げる防災」から「闘う防災」
(8)地震直後は火気厳禁

4、「自主防災組織」と「近助の精神」が地域の絆
(1)自助、共助プラス「近助の精神」
(2)自主防災は具体的「防災数値目標」を設定せよ
(3)防災おんぶ隊と中学生レスキュー隊
(4)自主防災(運命共同体)と防災人材バンク
(5)防災芋煮会と防災運動会
(6)災害時要援護者の避難支援
(7)自主防災組織の中に、防災隣組(安否確認チーム)の結成を急げ
(8)隣組の歌とトンカラリン班
(9)必死で店を開けたコンビニ
(10)被災地の「ちょっといい話」
(11) 「3.11」で帰宅困難者たちが出会った「素敵な日本人」

講演終了後、山村先生に幾つかのアドバイスを、宮田次朗自治連副会長から4項目についてお聞きしました。

質問1)現在(2月半ば)、自治会や管理組合で4月からの新年度の総会に向け活動方針を検討しています。防災の取り組みに対するアドバイスを!
○総会の議案の中に、防災の勉強会を入れてほしい。防災訓練の前に防災の必要性を皆に意識してもらう場を持ってほしい。総会の際10~20分でも意識をあげてほしい。その後に防災訓練や防災隣組の結成をお願いしたい。
○安否確認訓練や各家庭で初期消火訓練をやってほしい。実践的に役務分担をして地域の皆様が、参加でなく主体者になれるようにすることが大事。

質問2)防災隣組を結成していくなかでのアドバイスを!
・あまり難しく考えないで声を掛け合うつながりを作っていこう。
・緊急時連絡係りを設ける。1組2名ぐらい。
・イザのときは、役員は本部にいて、必要に応じて応援をする。
・防災隣組のルールを作り、なるべく小さな単位で作り、隣り近所との防災時のための結びつきを作っていく。

質問3)自主防災組織のリーダーの引継ぎ、組織の継続・充実のアドバイスを!
○防災マニュフェストを作りましょう。
・やったほうがいいこと、防災の取り組み、やらなければいけないことを箇条書きにして、いつまでにやっていくかをまとめておくことで、継続性と申し送りが出来、引継ぎもうまくいく。
○防災のための”人材バンク”をつくりましょう。
地域内の方で、各種の能力をお持ちの方に登録していただき、相談員になっていただく。役員だけでなく、地域の中から人材の宝を活かしていこう。いまやっておかないと、タイミングを逃さないように。想定外といわない対策をしましょう。

質問4)昨年11月発表の「東京都防災指針」の地域の連帯の再生による防災隣組の構築についてのアドバイスを!
・個人、各組織の防災力のレベルを高めることが、地域を支えることになる。
・防災隣組のポイントは、掲示板に連絡事項を貼るのではなく、回覧板でも手渡しで渡すということで、隣人と顔を合わせ言葉を交わすようになる。
・避難場所のつい立や洋式トイレ等の準備も行政と連携し進めてほしい。
・自主防災組織内で防災隣組の組織化と共に、周辺組織との連携を一歩一歩準備してほしい。

講師から、昭島市は地域としてもまとまり易い環境にあるので、防災隣組の推進と共に、防災のモデル地域になっていただきたいとの要望がありました。

最後に、嶽山俊夫自治連副会長から閉会の挨拶があり、11時30分に終了しました。